こんばんは。苫小牧市のありのみ行政書士事務所です。
定款は法人設立する際に必ず作成し、会社にとってのルールブックなので、法人の代表印などと同じくらいにとても大切なものなのですが、頻繁に使うわけではないので、紛失してしまう方がいるんですよね…(火災で焼失とかなら仕方ないですけど…)。
さて、万が一定款を紛失してしまった場合にどうしたらよいのかですが、
会社設立の最初の段階で作成する定款を「原始定款」と呼び、この原始定款は公証役場において20年間保管されていますので、公証役場に再発行の依頼をすることで原始定款の再発行は可能です。
但し、再発行ができる公証役場は、原始定款を作成した(定款認証をした)公証役場に限られますし、
合同会社の場合は定款認証がありませんので、公証役場に保管はされません…。
法人設立を依頼した行政書士もしくは司法書士が原始定款のデータを残している可能性もありますし、法人であれば会計事務所が関与していることが多いと思いますので、会計事務所に残っていないか聞いてみるのも一つです。(あとは、融資を受けていれば銀行に資料として出している可能性もあるけれど…、行政書士や司法書士も保管義務があるわけではないのでご了承くださいね…)
ただ、公証役場に保管されている定款はあくまで「原始定款」なので、定款変更をしている場合の現在の定款(現行定款)は再発行できません。
つまり、現行定款を紛失した場合には、会社の登記簿やその他の書類を参考にしながら、それに合わせた定款を再作成するしかありません。
もし、現行定款を使って何か登記申請の添付書類として提出していれば、管轄法務局に閲覧請求をかけることも可能ですが、書類の保管期限は5年間ですし、あくまで閲覧なので、コピーさせてもらえるわけではないのと、必ずしも見せてもらえるとは限らない点に注意が必要です。
私が以前の勤務先で定款を紛失してしまった方は
・法人設立が30年以上前で公証役場での保管期限終了
・法人設立に関与していた司法書士も税理士もみんな鬼籍に入っている
・一人役員で、本人以外に株主もいなく、途中で定款変更した記憶もない
ということでしたので、司法書士の先生にお願いして定款を一から作成してもらいました。
定款を再作成しても公証役場や法務局での手続きは必要なく、株主以外を関与させる必要がありませんので、
定款案を作成して、株主総会で定款変更が承認してもらったら、それが会社の現行定款になります。
(ただし、会社の定款変更は株主総会の特別決議で承認される必要があり、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席者の議決権の3分の2以上の賛成によって可決される必要があります)
定款変更が承認された旨を記載した株主総会議事録も忘れずに残しておいてくださいね。
是非、定款は耐火金庫など鍵がかかるところなどで、厳重に保管してください。