
こんばんは。苫小牧市のありのみ行政書士事務所です。
あっという間に6月も終わり、2025年も半年が過ぎようとしています。
前回のブログで、レンタカー業の許可申請の依頼を頂いた話を書いたので、今日は備忘録的にレンタカー許可に関することを書いておきます。
・所有するレンタカーは1台からでも事業を始めることができます。資本金や口座残高等の要件はありません(さすがに、自動車保険には加入が必要ですけど)。
一般車両9台までなら車両の整備管理者の配置も必要なし(整備責任者の配置は必要ですが、実務経験や資格は問われません)。保有車両が10台以上になると自動車整備士等の資格や実務経験が必要になりますが、整備を外注することもできます(まぁ、レンタカー業を始めたいような人は自動車関係者が多いので、車両1台でも要件満たしていることが多いような気がします)。
・過去の刑事処罰・行政処分歴等がなければ、許可を取得するハードル自体は比較的低めです。一応、審査の標準期間は約1か月とされていますが、室蘭運輸支局は申請書を出してから許可が下りるまで、1週間ほどでした(タイミングが合えば2日で許可が下りることも…)。
・許可申請書自体は難しいものではないけれど、必要書類のレンタカー料金表と約款を作成するのが手間というか、行政書士としての腕の見せ所かと思います。
北海道運輸局でも参考様式は出してくれていて、許可を取りたい人がこの様式を使って自己申請する分にはいいと思うのですが、私はこれをベースに色々と付け加えました。
※【参考様式】レンタカー料金表様式(15KB)
※【参考様式】レンタカー貸渡約款様式(76KB)
なぜか参考様式の約款は「又」と「叉」が混在している気持ち悪い仕様です…
・約款の参考様式の中では触れられていないのが、GPSやドライブレコーダーにおける運転者の個人情報の取扱いをどうするかだったり、電気自動車のレンタカーに不具合が発生したときのことなど。あと、レンタカー事業は車1台からでも始められるけれど、その1台に何かあって、他のレンタカー業者の車を又貸しするときのことなどが記載ないので、該当する部分がある方は内容の検討が必要かと…。
・お客さまとトラブルがあったときに、他のレンタカー事業者にもそのお客さまの情報が行きわたるようにするかどうか(NPS)。ただ、その場合全国レンタカー協会に加盟する必要がありますが、何故か室蘭地区はないという…。しかも、加入しているのがニッポンレンタカーとかトヨタレンタリースのような大手ばかりで、車の台数1~10台のような小規模事業者は加入していない感じです(会費もかかりますしね…)。もし、協会に加盟して、そこに個人情報を渡すようなことがあれば、約款に盛り込む必要が出てくるかと思います。
・レンタカーは借受人になる人以外が運転することがあると思うので、何かあったときにどこまでが借受人のみの責任なのか?運転者の責任が及ぶ範囲がどこからなのか?を明記しておく必要があります(頻繁に借受人又は運転者は~という文言が出てきます)。
・貸渡料金については、近隣の同業者の相場などもあるので(千歳は空港近いから、レンタカー屋多数あるよね…)、それを参考にしつつ、オプションを付けたり、割引など、どこで同業他社と差別化を図るかがポイントかなと。
・レンタカー特有の「ノンオペレーションチャージ」というのがあります。
万が一、借りたレンタカーで事故を起こして修理が必要になった場合、修理期間の営業補償の一部として借受人に請求するものです。
一般的な相場は、自走して営業所に帰ってこれれば2万円、自走できない場合は5万円くらいです。
ポルシェとか普通に購入したら1,000万円以上するような高級外車のレンタカー屋でも、その金額で設定されています…(保険も加入しているし、そもそもの貸渡料金が高額なので、それで十分収益があるんだろうけど…)。
ただ、他にも車両があって、遊休車両を使えば営業が出来る大手事業者ならこの営業補償でいいと思うのですが、レンタカー許可は1台から事業を始められますし、1台しかない事業者の場合、代車を他から用意するとなると営業補償は一般的な相場でいいのか?自走できないような状態に、何日代車が必要なのか?という問題が出てきます。
札幌地裁 令和5年1月18日の判例の中でノンオペレーションチャージについて
「本来は、休車損害を請求する場合は、被害車両1日あたりの営業利益を算出するとともに、遊休車両の不存在をレンタカー会社は立証する必要がある所、かかる立証を要せずにかつ実際に休車損害の多寡にかかわらず予め取り決めた一定額をもって賠償することにした損害賠償額の予定」としています。
今回は若干特殊用途の車両だったので、保有台数も少ない中で自走できないくらいに破損してしまうとノンオペレーションチャージ5万円ではとても足りないけれど、損害賠償額をこちらでわざわざ立証するのも大変…ということだったので、世間の相場とは異なるNOC設定となりました。
・今年からマイナ免許証が始まっていますが、マイナンバーカードの券面だけでは運転免許の情報がわからないので、どのように確認するか、確認するための機材を営業所で用意するかどうかも考えなくてはいけません。
・現状、レンタカーの許可自体は更新制度もないので、一度取得すればいいのですが、
年に1回実績報告が必要になっています(運送業や建設業の決算報告ほどは報告事項も多くない)。
実績報告が遅れても罰則規定はないのですが、他県で監査が入った際に
貸渡簿の備え付けもなく、貸渡証の交付もなく、実績報告もしていない営業所で営業停止10日の処分が出たこともあるようですので、やはりきちんと報告しておく方がよろしいかと思います。
保有車両台数が多い会社だとソフトなどで貸渡の管理をしていれば、報告事項も自動で集計されると思いますが、原始的な方法で貸し出している場合は走行キロや貸渡日数、貸渡料金を原始的な方法で集計します(笑)
建設業のように定期で高額な収入に繋がる仕事ではないですが、報告時期になったらアナウンスしてあげたり、実績報告書を作成したら喜ばれるとは思います。
・その他中古車を使ってレンタカー業をするのであれば、古物商の許可が必要になる場合もあります。
というわけで、苫小牧市や千歳市でレンタカー業を始めたい方は是非ありのみ行政書士事務所まで~。
先日、以前の勤務先から行政書士業務の依頼があったので面談に行ってきたのですが、1時間の面談のうち大半の時間をUFOや宇宙人、今話題の7月5日の災害の話を聞かされて帰ってきました(笑)