こんばんは。苫小牧市のありのみ行政書士事務所です。
昨日のブログの中で定款を如何にきちんと作り上げておくか、
という話をしましたので、今日のブログでは定款の記載事項について書いていきます。
定款は、会社の組織・運営について定めたルールブックのことです。
会社設立の際に必ず作成し、株式会社は公証役場で認証されますが、合同会社は認証不要になっています。
定款には
・必ず定めておかなけければならない絶対的記載事項
・定款に定めがなくても定款自体の効力には影響はないが、定款で定めておかなければ、会社の法律関係として効力が生じない相対的記載事項
・定款に定めがなくても定款自体に影響を及ぼすことはなく、またその定め自体の効力にも影響はなく、便宜上定款で定められる任意的記載事項
があり、絶対的記載事項については記載を欠いたり、記載に瑕疵がある場合は、定款そのものが無効となりますが、株式会社の場合、公証役場でチェックが入るから大丈夫…なはず。
株式会社の絶対的記載事項は
- 事業目的(将来的にやろうと思っている事業も含んでおく方がいいけれど、多すぎても何やりたい会社か分からなくなるので注意)
- 会社名(前株なのか、後株なのか、近隣に同じ会社名がある場合は紛らわしいのでやめる。)
- 本店の所在地(定款では本店が所在する独立の最小行政区画(市区町村)まで定めればOK。苫小牧なら北海道苫小牧市までで良い。)
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(今は資本金1円からでも設立できるけれど、運転資金だし会社の信用問題に関わるからね…)
- 発起人の氏名または名称及び住所(会社設立後は、資本金の金額に応じて株式が発行されて株主となり、会社の意思決定に関わる)
- 発行可能株式総数(実は会社法上の絶対的記載事項ではないけれど、株式会社の成立時までに定める必要があるので、実質的な絶対的記載事項です。)
の6点です。
相対的記載事項は
1 変態設立事項
- ①現物出資に関する事項
設立時に、金銭以外の財産を出資する場合、例えば会社の営業で使うためのの自動車やパソコンやプリンターなどのオフィス用機器、机や椅子、棚などのオフィス家具、事務所に使うための不動産(土地や建物)を金銭の代わりに出資することができますが、その価値が500万円以上になると手続きは煩雑になります…。 - ②財産引受けに関する事項
- ③株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益
- ④株式会社が負担する設立に関する費用(ただし、③と④を定款に記載すると、裁判所によって選任された検査役の調査が必要となって、費用も時間もかかるので実際はほとんど記載することはありません。)
2 株式の譲渡を制限する規定
3 種類株式発行の定め
4 株主名簿管理人の設置
5 単元株式数の設定
6 株券発行の定め(今は株券不発行が原則)
7 株主総会の招集期間の短縮
8 取締役会の招集期間の短縮(取締役会設置会社の場合)
9 株主総会の決議の方法
10 株主総会、取締役以外の機関の設置
11 取締役、監査役の任期の伸長(非公開会社については、取締役・監査役ともに最長で選任後10年以内に伸ばせるので、一人役員の場合はこの方が登記費用がかからなかったりするけれど、複数人の取締役がいるときは良し悪し…)
12 役員の責任の免除に関する定め
13 責任限定契約に関する定め
14 公告方法(日刊新聞紙に掲載するのか、電子公告にするのか、官報に掲載するのか。)
絶対的記載事項と相対的記載事項は商業登記簿謄本に必ず登記される以下の内容ともかぶります。
- 商号
- 本店及び支店の所在場所
- 目的
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 発行済株式の総数並びにその種類及び数
- 取締役の氏名
- 代表取締役の氏名及び住所(令和6年10月1日から登記簿における代表取締役の住所を非表示とすることができるようになっています)
- 公告方法についての定め(公告方法についての定めがないときは、官報で公告する旨)
登記事項でもあり、公告方法を定款で定めていない場合は、公告方法は官報に掲載する方法となり、ほとんどの中小企業は官報掲載を選んでいるはずだけれど、官報に掲載している会社を見たことがない…(笑)
あと、発起人が誰なのか定款に載せていても登記事項ではなかったり、取締役・代表取締役をどのように決めるかを定款に載せていても、氏名は定款の記載事項ではないけれど、登記事項ではあったりと、細かな違いがあります。
あとは、任意的記載事項ですが、任意なのに、いったん定款に定めると、変更するためには、定款変更の手続きが必要…。
- 基準日
- 会社役員の員数
- 事業年度
- 定時株主総会の召集時期(10月1日のブログにも書いたけれど、意外にも絶対的な記載事項ではない。)
今は、定款のひな形もありますが、相対的記載事項の役員任期や決議方法などよく検討した方がいい内容もありますし、
株式の譲渡制限の文言が入っているかどうかも、相続のときに重要なポイントになったりしますので、
法人設立段階でしっかりとしたルールを構築しておくことが大切です!!
タイトルは物騒ですが、定款の作り方とか現物出資の話も載っていて、法人設立や会社運営の勉強になるマンガなのでおススメです。