こんばんは。苫小牧市のありのみ行政書士事務所です。
住民票の世帯主の方が亡くなって、住民票上で小学生の子供が一人ポツンと残っている状態になっているのを見まして、小学生が世帯主になるのだろうか?と気になって調べてみました。
住民票は「住民基本台帳法」という法律で運用されていますが、「住民基本台帳法」の中で世帯主については
(住民票の記載事項)
第7条 住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第3項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
(省略)
四 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
(省略)
という感じで、具体的にどのような人が世帯主なのかの記載がありません。
「住民基本台帳事務処理要領」といって、1967年(昭和42年)10月4日付けで発出された法務省や自治省などから連名で各都道府県知事あてにに通知している住民票の具体的な事務処理を案内している手引き文書では
「世帯主の認定にあたっては、その者が主としてその世帯の生計を維持しているかどうか、及び社会通念上その世帯の代表者と認められるかどうかという客観的基準に当該世帯の構成員の主観をも総合して決定すべきであり、単なる収入の多少によって便宜的に変更するような取扱いは不適当である。」
と定義しています。
「主としてその世帯の生計を維持しているかどうか」というところから、一般的には就業可能年齢の15歳以上であれば世帯主になれるようですが、15歳未満は世帯主にはなれないようです。
民法上の成人年齢である18歳ではなく、遺言を残すことが出来るようになる15歳を基準にしているんですね(義務教育終了かどうかもあるのかな?)
なので、冒頭の状況の場合、中学生(15歳)までは世帯主になれないので、その子供の住民票をどうするかはその市町村と他の親族の方などが相談の上決めていくことになります。
ちなみに、世帯主が亡くなった場合、死亡日から14日以内に居住地の市区町村役場に「世帯主変更届」を提出し、新しい世帯主を届け出る必要がありますが、
世帯に15歳以上の人が2人以上残っていて、新しい世帯主が明白ではない場合は、世帯に残った15歳以上の人の中から、新しい世帯主を1人決めて、世帯主変更届によって届け出をしなければなりません。
ケース①世帯主である父・世帯員の母・世帯員であり15歳以上の子供の世帯で、世帯主が死亡した場合、母か子供のどちらかを新しい世帯主として、世帯主変更届を提出しなくてはなりません。
子供が16歳だったりしたら、世間一般の常識では母が世帯主なのかもしれないですが、
「社会通念上その世帯の代表者と認められるかどうかという客観的基準に、当該世帯の構成員の主観をも総合して決定すべき」らしいので、その世帯の状況によっては子供の方が世帯主になっても要領上はおかしくはないんですね。
ケース②17歳の「長女」と15歳の「長男」が残された場合、どちらかを新しい世帯主として、世帯主変更届を提出する必要があります。
これもまた、世帯主になるための要素は年齢だけではないので、もし長女の方が姉であっても、弟である長男が世帯主になることも可能です。
逆に以下の場合は、世帯主変更届の提出が不要です(自動的に次の世帯主が決まるので)
①死亡した人が1人暮らしで、他に住民票上の世帯員がいない場合
②世帯主が死亡して、世帯に残ったのが1人だけの場合
③世帯に残った人が親と15歳未満の子供だけ
そういえば、未見なので状況に詳しくないのですが、マンガやドラマでやっていた「コタローは1人暮らし」はどういう設定だったんでしょうね?4歳か5歳くらいだったような気がするのですが…。世帯主ではなかったのかな??